第15回 思春期の心の成長
*第15回 思春期の心の成長*
前回は思春期のからだの成長についてお話をしましたが、今回は思春期の心の成長についてお話します。
この頃は心とからだの成長スピードがちがうため、からだの急な変化に戸惑い、そんな気持ちをうまく言葉にできないことから、気持ちのコントロールができず心も不安定になりやすくなります。
また、そのような感情の変化には脳の発達が大きく関わっていると言われています。脳は大きさ(容量)だけでいうと、6歳ころまでに95%が発達すると言われていますが、10代の脳内神経の発達はまだまだ未熟です。ほとんどの大人の場合は、ものごとの結果を予測して色々なことを選択し、決めていくことを脳の前頭前皮質(ぜんとうぜんひしつ)という場所で行います。しかし、思春期はその部分が発達している途中なのです。また、思春期の脳には大人より敏感に反応する場所があります。その場所は「扁桃体(へんとうたい)」といい、怒りや悲しみなどの感情を生む中枢(ちゅうすう)です。最近の研究では、性ホルモンが体だけでなく脳にまで入り込み、劇的な変化を生じさせることが分かってきました。特に大きな変化が起こるの が、「扁桃体」です。ですから、思春期は感情をコントロールすることが難しく、ちょっとしたこ とでイライラしたり、感情が爆発することも少なくありません。
このような心の変化は、脳の神経細胞が成長する 20代前半くらいまでは、誰にでも起こる正常な変化です。ですから、不安やイライラした気持ちは我慢せずに、スポーツや好きな音楽を聞いたりして上手に吐き出してみましょう。周りの大人も同じような経験をしてきているので、話してみるときっとあなたの気持ちを理解してくれるはずです。
鹿児島大学保健学科成育看護学講座監修